釜石を訪れるのは何度目か覚えていないが、「ワクワクする気持ち」で来たのは初めてだった。震災で大きな被害を受けた鵜住居小学校と釜石東中学校の跡地に、立派なスタジアムができるなんて、7年前には想像もできなかった。
◆市内の様子
いたるところでラグビーを盛り上げるべくアピールが目立つ。町の中心部では、震災のツメ跡はほとんど見受けられず人の生きる逞しさを感じた。その中でも、浸水地点を示す表示と、「復興〇〇」と名づけられた建物が印象に残った。
◆スタジアム周辺
区画整理された土地にポツリポツリと新しい建物。本格的な町づくりはこれからだ。2019年3月には、JR山田線の一部を引き継ぎ三陸鉄道が開通予定。スタジアムの最寄りは、鵜住居(うのすまい)駅。ラグビーワールドカップでは、人員輸送に大活躍するだろう。
◆スタジアム内
スタジアムを歩いてみる。海、、やっぱり近いなあ。完成は喜ばしいけれど、7年前のこの場所を見た者からすれば、津波リスクを常に念頭に置いてしまう。
竣工時は約6,000名収容。ワールドカップ時には約10,000席の仮設シートを加え、開催基準を満たす予定。座席には、2017年5月に釜石市尾崎半島の林野火災で被害を受けたスギが活用された「木製シート」。風雨風雪にさらされ徐々に味わいが出てくる予感。座り心地も悪くなく、プラスチック製の味気ないシートより好きだ。
温水便座つきで綺麗なトイレ。だが小さい・・
避難経路を確認。3か所あるようだが、これで大丈夫なのだろうか?
◆所感
釜石鵜住居復興(かまいしうのすまいふっこう)スタジアムの名に相応しく、素敵な球技場ができた。コンパクトにまとまりながらも、最新のハイブリット芝生を活用したり、木製シートで個性を出したりと、秩父宮にはない魅力がある。
一方で気になった点もある。まず災害時の避難についてだが、数千名以上が観戦し国籍も多彩になることを前提に、避難経路をもっと強く、丁寧に案内すべきではないかと思う。自分が見た限り、案内版少ない&英語表記等もない状況であった。
深堀りすれば、バックスタンド側(鵜住居駅に近い方)の場合、避難場所に指定された学校までは距離があり、お年寄りやハンデキャップを持つ方が逃げ切れるのか不安を感じた。また、メインスタンド側は背後に山が迫っており、避難経路の安全性を懸念する。道は整備されてないし(今後されるのかもしれないが)、山中に大勢の人間が一時避難できるスペースがあるのかも不明だし、もし山崩れでも起きたらこの経路は使えないだろうし・・・ 私に指摘されなくても適宜整備していくのだとは思うが、より安心感のある施設になることを期待したい。
もう一つ気になったのがトイレの数と案内不足。そもそも常設のトイレ、数が少なすぎでは?? 今回、仮設トイレが設置されていたけどそれでも行列(男子ですら)が続き、これではハーフタイム中に用を足せるのか心配になってしまう。案内もわかりづらく、仮設トイレがどこにあるか当初わからなかった。スタッフにトイレの場所を尋ねる観客も何人もいたし、改善してほしいと思う。
つづく